
発音矯正は実際どう進むのか——直す順番がある
「発音を直したい」と言う人の多くが、LとRの区別から始めようとします。気持ちはわかりますが、これは順番として効率が悪い。
理由は単純です。通じない原因の大半は、個別の子音ではないからです。実際に相手が聞き取れなくなるのは、音節の数が違うときと、強勢の位置がずれたときです。
この記事では、発音矯正が実際にどういう順番で進むのかを説明します。
まず、目標を設定し直す
はじめに前提を一つ。「ネイティブと同じ発音」は目標になりません。
- 英語話者の発音は国・地域によって大きく違い、「唯一の正解」が存在しません
- 大人が母語話者と同一の音を獲得するのは容易ではありません
- そして何より、通じるために必要な水準はそこまで高くない
現実的な目標は、「聞き返されない」です。これなら数週間で目に見えて変わります。
直す順番——大きいものから
発音の矯正には、効果の大きい順があります。
1. 音節の数を合わせる
日本語話者の英語がいちばん通じにくくなるのは、単語に余分な母音が入るときです。
| 単語 | 音節数 | よくある発音 | 起きること |
|---|---|---|---|
| desk | 1 | デ・ス・ク(3) | 別の語に聞こえる |
| stress | 1 | ス・ト・レ・ス(4) | 語として認識されない |
| milk | 1 | ミ・ル・ク(3) | 聞き返される |
| baseball | 2 | ベ・ー・ス・ボ・ー・ル(6) | 通じにくい |
子音で終わる語に母音を足さない。これだけで通じ方が変わります。最初の1週間はここに集中する価値があります。
2. 強勢の位置を直す
英語は強く読む位置がずれると、単語として認識されにくくなります。
- hoTEL(後ろ)/ HObby(前)
- PHOtograph / phoTOgrapher / photoGRAphic——語形が変わると位置も動く
授業では、講師が単語を分解して手を叩きながら位置を確認する、という進め方をよく取ります。地味ですが、効果は大きい部分です。
3. 個別の子音に入る
ここでようやくLとRです。日本語話者がつまずきやすいのは、おおむね次のグループです。
- L / R——舌先が上あごに触れるか、触れないか
- TH(th)——舌先を上下の歯の間に軽く出す
- V / B——下唇に上の歯が触れるか
- S / SH、F / H——息の通り道の違い
矯正の中身は「聞いて真似る」ではなく、口の中のどこをどう動かすかの指示です。舌の位置、唇の形、息の量。物理的な動作として教わり、鏡で確認しながら反復します。
4. 文のリズムと連結
最後に文単位です。英語は強い音と弱い音が交互に来る言語で、機能語(前置詞・冠詞・代名詞)は弱く短くなります。
- want to → wanna のように音がつながる
- an apple が「アナポー」に近く聞こえる
ここが分かると、話す力より先にリスニングが変わります。自分が出せる音は、聞き取れるようになるからです。
授業の中では何が起きるか
マンツーマンの発音授業は、おおむねこの流れで進みます。
- 診断——短い文章を読み、講師がつまずく箇所を記録する
- 優先順位づけ——通じにくさに直結する2〜3点に絞る
- 単音の練習——口の形と舌の位置を指示され、繰り返す
- 単語に戻す——その音を含む単語で反復
- 文に戻す——実際の会話で使い、崩れたらその場で止めて直す
重要なのは5番です。単音で正しくても、会話に戻ると元に戻る。だから「会話→止める→直す→会話」を何十回も往復します。これができるのがマンツーマンの強みで、仕組みはマンツーマン授業はなぜ効くのかにまとめました。

誰が直すのか——講師体制の話
フィリピンの学校では、授業を担当するのは現地の講師です。ネイティブ講師が在籍している場合も、その主な役割は現地講師のトレーニングであり、学生の授業を直接受け持つわけではありません。この体制は学校によって異なるため、気になる場合は事前に確認してください。
「現地講師の発音で大丈夫か」という質問は当然出ます。ここは冷静に整理しておくと良い点があります。
- 発音矯正は手順の指導であって、模倣だけではありません。舌と唇の動きを説明できるかどうかが技術です。
- 講師の採用と研修の体制は学校ごとに差があります。どういう基準で採用し、どう研修しているかを確認するのが実質的な判断材料になります。
講師の採用と研修については講師の採用と研修に整理しています。授業の中身は発音矯正の授業も参照してください。
自習でできること
授業外の時間で効くのは、次の3つです。
- 録音して聞く。自分の声を客観的に聞くのは苦痛ですが、いちばん速い。週に一度、同じ文章を読んで比べます。
- シャドーイング。短い音声を、意味を追わずに音だけ真似る。1回3分で十分です。
- 鏡の前で口の形を確認。TH と V は、見れば間違いに気づけます。
夜の時間の配分は授業後の夜の使い方を参考にしてください。
まとめ
発音の矯正は、才能でも耳の良さでもなく順番の問題です。
- 余分な母音を消す
- 強勢の位置を直す
- 個別の子音を物理的に直す
- 文のリズムに乗せる
この順で進めると、多くの人が数週間で「聞き返される回数が減った」と感じます。伸び方には個人差があり、結果を保証できるものではありませんが、やり方の順番を間違えないことが何より効きます。
発音に重点を置いたコースの有無や構成は学校によって違います。詳しくは下記の提携エージェンシーにご相談ください。